白い空、あるいは白い廃墟(expired 600 film)

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2006年3月に使用期限が切れたポラロイド純正600フィルムを使ってみた。四年以上もの間、冷蔵庫にも入れず真夏には35度以上にもなる苛烈な室内で放置されていたものだ。SX-70で撮影したが、普通にNDフィルタを装着しても正常な色再現性は期待できないので、意図的に露出オーバーにしてみた。

四年もの間、眠っていたフィルムを使うに当たって、せめて最後に初冬の澄み切った空の光を存分に吸収させてやりたいと思ったからだ。結果は予想外に面白いものとなった。


上記のショットを、TZ Artistic Edge Cutで撮影すると、以下のようになる。

20101127a.jpgこってりとした色乗りのTZと比較するのもいかがなものかと思われるが、現時点で「まっとう」な発色をするフィルムは、これしかないので悪しからず。

まるで油絵と水墨画ほどの違いだ。600フィルムでは、ほとんどモノクローム的な色調の中に、ほんのりと空の青さが感じ取れる。まるで白日夢のようだ。


20101127c.jpgアスファルトの駐車場の上に落ちる電信柱の影。


20101127d.jpg木製の扉の茶色が、かすかに見て取れる。


20101127e.jpgこの色調は、廃墟を撮ると何とも言えない幻想的な描写となる。


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白い空の中の微妙な青。そしてセピア色の廃墟。


20101127h.jpg使われなくなった公衆電話ボックスが、撤去される日を待っていた。


20101127i.jpgこの廃屋も、いずれ撤去されてしまうのだろうか。更地になった時に、それを覚えている人はもういないだろう。


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fade out

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